学園怪談2 ~10年後の再会~

 確かに、言われてみれば漫画やゲーム、テレビでなどの知識では、その二つに落ち着くように思える。
「そこでだ。今からの実験ではもちろん霊的な力で引き起こされるポルターガイストを体験してみようと思う」
 私は先ほどの自分の実体験を思い出して、背筋に悪寒が走った。
「ちょ、ちょっと能勢さん! 興味本位で危ない事はしない方がいいですよ。井上孔明からの宣告だってあるし、もしも何か怪我でもしたらどうするんですか!」
 私は『お迎えおばさん』の時の嫌な体験を思い出し、体を自分で抱きしめる格好をとった。
「なに、大丈夫さ。ポルターガイストってのは本当に霊的な力が働いても物質が動くだけで、それらに注意さえすれば怪我なんてしない。それに……これだけの集まった霊力を試さずにはいられない。俺の中での霊能力者としての勝手な使命感みたいなもので悪いけど、やりたいんだ」
 私は能勢さんが遊びの気持ちだけでなく、自分への挑戦的な部分も兼ねてやろうとしているのがわかった。そんな彼をどうして止められよう……。
「でも、能勢さんがやろうとしている事が危険な事であることには変わりないし、気をつけてください」
 紫乃さんが声をかけ、うなずく能勢さん。
 私の隣で、そっと囁くように淳さんが喋る。
「これで、この新座学園に充満した霊力がどの程度なのかを知ることができる。能勢さんは何も言わないけど、身をもってそれを調べるつもりなんだ……」
 彼の言葉に私は固唾を飲んで見守った。

 ……。
 教室の中央に能勢さんがイスを持ってきて座った。私たちは彼を囲むようにして教室の隅に散らばる。
 能勢さんの目の前にはいくらかの道具が並んでいる。
 雑誌、サッカーボール、ダンボールの箱など、厚さ、重さも様々なものが並べられているが、もちろんそれらは動いてなどいない。テーブルの上で静止していて、何の仕掛けも見られない。
「よし、じゃあポルターガイストの準備は出来……」
 能勢さんの言葉が終わらないうちに、サッカーボールが転がり始めた。
「あ、全く……欠陥住宅か? この学校は傾いているのかな」
 転がるボールを捕まえると、能勢さんは元あった場所へ戻す。
「まあ、サッカーボールは丸いし、すぐに動いちゃうよね」
 ……しかし、能勢さんが所定の位置に戻ろうとした時。