……。
「僕の話はここまでです」
……フッとロウソクの炎が吹き消され、99本の火の消えたロウソクが残された。
「いよいよあと1話か。ずいぶん長くかかったが何も起こらないようだな。ちょっとばっかし拍子ぬけしちゃったな」
午後7時から始められた百物語は深夜の3時半、あと1話で全てが完結する。
……そもそも、なぜ百物語をする事になったかというと、この企画は『学園七不思議』というタイトルで学級新聞を作る予定だった。しかし他の班の企画と被ってしまい、リーダー各である3年生の喜多川は学園中から怪談に自信のある生徒を集めて『百物語』を敢行したのだ。これが成功して記事にすることができれば、七不思議よりも遥かにスケールとしては大きく、話題性はバッチリだ。
……しかし、もともと記事作りにしか興味のない喜多川にとって、100話という想像を絶する忍耐の時間は拷問でしかなかった。
「……先輩、あの、もうここでやめませんか?」
99話を終えた本人である木崎が急に提案をした。
「なんだよ、どうしたんだよ一体。ここまで来てやめたら何のための企画だったのかわからなくなるだろ!」
イライラしているのが言葉にも表れていた。しかし、木崎の表情は真剣で、その顔には極度の緊張と不安で複雑な表情が浮かんでいた。
「これ以上は本当にマズイ気がします。先輩は気がつかないんですか? 明らかに部屋の空気が変わってきています。この部屋に……いえ、この新座学園全体を取り巻く空気が邪悪な気配を帯びています。よくないものの気配です。僕たちは呼んでいるんです。この世のものではない、決して読んではいけない何かを!」
その悲痛なまでの声に、他の生徒たちもうなずいた。
「そうですね、木崎くんの言うとおりだと思います」
「これ以上は本当に怖い事が起こるかもだよ?」
「とか何とか言って、怖いだけなんでしょ? 私は最後まで見てみたいけどな……」
部屋に集まった話し人たちは各自の意見をおもいおもいに述べる。それは言葉こそ違うものの一つの意味を指していた。
「僕の話はここまでです」
……フッとロウソクの炎が吹き消され、99本の火の消えたロウソクが残された。
「いよいよあと1話か。ずいぶん長くかかったが何も起こらないようだな。ちょっとばっかし拍子ぬけしちゃったな」
午後7時から始められた百物語は深夜の3時半、あと1話で全てが完結する。
……そもそも、なぜ百物語をする事になったかというと、この企画は『学園七不思議』というタイトルで学級新聞を作る予定だった。しかし他の班の企画と被ってしまい、リーダー各である3年生の喜多川は学園中から怪談に自信のある生徒を集めて『百物語』を敢行したのだ。これが成功して記事にすることができれば、七不思議よりも遥かにスケールとしては大きく、話題性はバッチリだ。
……しかし、もともと記事作りにしか興味のない喜多川にとって、100話という想像を絶する忍耐の時間は拷問でしかなかった。
「……先輩、あの、もうここでやめませんか?」
99話を終えた本人である木崎が急に提案をした。
「なんだよ、どうしたんだよ一体。ここまで来てやめたら何のための企画だったのかわからなくなるだろ!」
イライラしているのが言葉にも表れていた。しかし、木崎の表情は真剣で、その顔には極度の緊張と不安で複雑な表情が浮かんでいた。
「これ以上は本当にマズイ気がします。先輩は気がつかないんですか? 明らかに部屋の空気が変わってきています。この部屋に……いえ、この新座学園全体を取り巻く空気が邪悪な気配を帯びています。よくないものの気配です。僕たちは呼んでいるんです。この世のものではない、決して読んではいけない何かを!」
その悲痛なまでの声に、他の生徒たちもうなずいた。
「そうですね、木崎くんの言うとおりだと思います」
「これ以上は本当に怖い事が起こるかもだよ?」
「とか何とか言って、怖いだけなんでしょ? 私は最後まで見てみたいけどな……」
部屋に集まった話し人たちは各自の意見をおもいおもいに述べる。それは言葉こそ違うものの一つの意味を指していた。

