「……前にいたんだ。僕たちと同じように、井上孔明に宣告を告げられた……百物語を実行した先輩たちが」
 全員が動きを止めた。その言葉に、何か事件解決へのヒントを感じた気がした。
「やりましょう、最後の怪談を。それで、私達でこの悪夢を終わらせましょう!」
 私が椅子を円形に並べなおすと、一人、また一人とその輪の中に入って座った。
「じゃあ、トップバッターは任せたぜ」
 徹さんの言葉に、淳さんは力強く頷き、最後に円の中に入った。
 7人が輪を作った瞬間、何か空気が動いた気がした。それは重苦しい空気を僅かに和らげたような感覚を与えてくれた。
 ……時間は午前3時。
 最後の一周が始まる。私たちを待っているものが天国なのか地獄なのか。それはまだ誰にもわからない。全てはあと一周で決まる。

残り8話