……ジジジ、キィィィン。。
　ようやく割れた蛍光灯の嵐のような雨が降り止むと、教室内に設置されたテレビに変化が現れた。
「な、何かテレビに映ってるぞ！」
「しっ！　徹、静かに！」
　真っ暗な室内に二人の声が響く。
　……そして、電源入ってない筈のテレビ画面に、何か白い線のようなウニョウニョしたものが映っていた。
　ほんの数秒？　それとも数十秒？　あるいは数分だったのだろうか？
　私たちは線の動きを魅入られたように見つめていた。
　やがて、線は真っ暗なブラウン管に漂いつつも、何か幾何学的な模様を作り出したように見えた。。
『……俺は……』
　テレビから？　それとも放送のスピーカーから？　それとも私たちの脳に直接響いたのか……分からなかった。ただ、明らかにそのブラウン管に映る、正体不明の何かの意思が働いているのだということだけは感じた。
『…………井上……孔明。この地に封印された……天の理を……知る……』
　みんなは黙ってブラウン管を凝視し続ける。
『……もう……逃げられない……時は……間もなく……満ち……る』
　その姿は……無。確かにブラウン管に何かが映っているが、特に実態がある訳でもなければ、特徴的な色合いがある訳でもない。ただ、明らかにそこに何かしらの情念というか、ドス黒いものが渦巻いているのは感じられた。
「俺たちをどうするつもりだ！」
　仁王立ちする徹さんがブラウン管の井上孔明向かって叫ぶ。
『……お前たちは……近づきすぎた……もう……あの世と……現世との……境目は……消える……』