……。
「と、いう感じで様々な……」
 私は話を途中で止めた……いや、止めざるを得なかったのだ。
 ……私の視界。校庭の中央付近に何かが見えたのだ。
「……どうしたの?」
 私の視線に気づいた紫乃さんが校庭を見た途端。
「きゃああああ!」
「うそ! 何あれ!」
 紫乃さんと斎条さんの二人が悲鳴を上げた。
「うお! あそこにいるのは」
「間違いない! 君の話に出てきた……」
 大ちゃんさんと能勢さんも校庭にいる……首の折れ曲がった女性、血まみれの腹から飛び出た内臓を引きずりながら歩く……さまよう女の幽霊を見たようだ!
「ほほほお、本当に出た! 出たあああ!」
 徹さんは悲鳴を上げながら淳さんの背中に飛びついた。
 ……私は混乱していた。
 私の話は確かに全国各地から集めた情報ではあるが、これが全て現実のものかどうかは確認などできなかったからだ。いや、むしろ目の当たりにできたことなど一度もなかった。心の底では信じてなんかいない怪物の話だったはずだ。
 ガンガンガン!
 その時、廊下の方から大きな音が響いてきた。
「な、なんの音なの……これ?」
 紫乃さんは泣き笑いの表情でドアを見た。
 ダダダダ! ガラッ! ダダダ。
「あ、どこ行くんだ!」
 私は能勢さんの言葉が聞こえないかのように、一か所に向かって走り出していた。
 ダダダダダ。
 私の後から、何人かが追ってくる気配は感じていた。しかし、今の私に振り返っている余裕はなかった。とにかく今、私は自分の感じた直感を確認せずにはいられなかった。
 そして私は……昇降口へとたどり着いた……。

 残り10話