……お迎えおばさん。大人は何も知らない子供たちの間だけの存在。雨でもないのに赤色のカサをさして現れる謎のおばさんです。夕暮れの学校、校舎内が喧騒を忘れて夜の闇に包まれるまでの僅かな時間、最後に校舎に残った生徒を迎えに来る……って言われています。
 ヨシくんという生徒が亡くなる前日、彼は校庭で遊んでいた複数の生徒によって目撃されていました。凄く大人しくて真面目な性格の彼は日直の仕事を終え、塾の宿題を片付けていて帰りが遅くなってしまったそうです。
 そんな時に限って出くわしてしまったんですね。
 ……。
「あ、ヨシくんだ。ヨシく~……」
 校庭でサッカーをしていた複数の男子生徒たちは、薄暗くなった昇降口の付近で、校舎から出てきたヨシ君に近づく赤いカサをさした女性を見ました。
 暗くてよくは見えないながら、少し小太りでゆっくりとした動き。背は低くて少し足元がおぼつかないようにフラフラと歩み寄って行ったそうです。
 ……サッカーをやっていた生徒たちも、そして当事者のヨシくんも、みんな魅入られたかのように動きを止めてしまいました。
 その時の生徒の一人は、動けない中ではっきりと見たそうです。ヨシくんが笑っていたのを。その笑いは……引きつった、恐怖に歪んだ泣き笑いだったそうです。
 そして……そのままヨシくんは連れられて行ったそうです。二度と帰れない世界へと帰宅してしまったんですね。
 そのお迎おばさんなんですが、これは決して新座の中だけの存在ではないみたいなんです。私は怪談が好きなので全国の怪談を色々と調べましたが、名称や若干の違いはあっても結構似たような話は散らばっているものですね。
 ……お迎えおばさんの他にも生徒を狙う幽霊とかは多いみたいです。ちょっと似ていると思った話もあるので、いくつか挙げてみますね。