学園怪談2 ~10年後の再会~

 ……。
「ふんふんふ~ん。ふ~んっとくらァ♪」
 その後で、僕は屋敷の裏手……唯一日の当たらない北側の樹木を剪定していたんだけど、ここに屋敷に似つかわしくない小さな古びた倉庫……というか、蔵を見つけた。
「いったい何を入れているのかな? でもまあ、凄くみすぼらしい感じだし、値打ち物が収められているとも思えないな」
 僕はそれ以上気にすることなく仕事を続けていたが、そんな僕を再び蔵へと注目させる出来事が起こった。
 ウオオオオ!
「な、なんだ!」
 突如聞こえたオゾマシイ悲鳴だか咆哮だかのせいで、僕は危うく脚立から転がり落ちるところだった。
「もう! いい子にしてないとだめよ!」
 そして、その蔵の入り口から、これまたその場に似つかわしくないルカちゃんが飛び出してきた。
 ルカちゃんは僕を見つけると、一瞬バツの悪そうな顔をしたが、すぐに笑顔に戻ると脚立の下まで歩み寄ってきた。
「や、やあルカちゃん」
「雅ちゃん。お仕事ご苦労様ですっ!」
 えらく行儀のいいあたりは、育ちの良さをうかがわせる。
「あ、ああ。ありがとね」
 僕は脚立を降り、ルカちゃんにぎこちない笑顔を返すと、気になっていた先ほどの蔵からの声について聞いた。
「ねえルカちゃん? あのさ、あの蔵には何かいるのかい?」
「え……」
 ルカちゃんは明らかに困った顔を見せた。もしかしたら母親から他言しないように言いつけがあるのかもしれない。