……作り話の中でも取り分け、怖い話っていうのは何処の家庭にもあるものだよね。よく家の奥さんとかから聞いたりするんだけど。『髪の伸びる日本人形』とか、『開かずの間』とか『人面犬』とかね。
でもね、僕が聞いた話の中でも一番怖かったのは『どんぐりさん』なんだ。こんなの知らないよね? それもその筈さ。だって、どんぐりさんなんて訳の分からない怪談は他にないよね。僕だってもちろん初めて聞いたよ。それはね、こんな話。
「能勢さ~ん。どうぞ休憩にして冷たい麦茶でもどうぞ~」
僕は3日間の仕事で、市外の江角さんという一軒屋へ出張に来ていた。この辺りは人家が少なく、お金持ちがゆったりと暮らす、少し一般人の出入りが少ない地域だ。
「どうもすいませ~ん」
若奥さんに勧められては断れないのが男の性。僕は昨日も縁側で奥さんに入れてもらった麦茶を飲んだ。明日でこの時間も終わりかと思うと少し寂しい。
「今日も暑くて大変ですね」
奥さんは専業の主婦で歳は35歳。旦那は2年前から海外出張中で当分は帰って来ないらしい。
「いえ~、仕事ですし。身体を動かすのは楽しいですから」
僕はやけに露出の多い出で立ちの奥さんに、視線のやり場に困りながらも麦茶をグイッと一のみした。
「うふふ。能勢さんって日に焼けて逞しいですね。私の旦那は商社マンのせいか色白でガリガリなものですから……」
奥さんの意味深な発言は僕の欲望を煽るには十分すぎるものだった。
でもね、僕が聞いた話の中でも一番怖かったのは『どんぐりさん』なんだ。こんなの知らないよね? それもその筈さ。だって、どんぐりさんなんて訳の分からない怪談は他にないよね。僕だってもちろん初めて聞いたよ。それはね、こんな話。
「能勢さ~ん。どうぞ休憩にして冷たい麦茶でもどうぞ~」
僕は3日間の仕事で、市外の江角さんという一軒屋へ出張に来ていた。この辺りは人家が少なく、お金持ちがゆったりと暮らす、少し一般人の出入りが少ない地域だ。
「どうもすいませ~ん」
若奥さんに勧められては断れないのが男の性。僕は昨日も縁側で奥さんに入れてもらった麦茶を飲んだ。明日でこの時間も終わりかと思うと少し寂しい。
「今日も暑くて大変ですね」
奥さんは専業の主婦で歳は35歳。旦那は2年前から海外出張中で当分は帰って来ないらしい。
「いえ~、仕事ですし。身体を動かすのは楽しいですから」
僕はやけに露出の多い出で立ちの奥さんに、視線のやり場に困りながらも麦茶をグイッと一のみした。
「うふふ。能勢さんって日に焼けて逞しいですね。私の旦那は商社マンのせいか色白でガリガリなものですから……」
奥さんの意味深な発言は僕の欲望を煽るには十分すぎるものだった。

