……。
 水:昔ね。まだ俺達が3年生だった時、学園に変な噂が流れたことがある。初秋の夜に
   屋上への扉を開けると死臭が流れ込んでくるというものだ。
 パ:へ~、それは怖いですな。思わず身もきんた●も縮みあがりそうでんな。
   ビシッ、と水沢からツッコミチョップが入る。
 水:まだ怖いとこちゃいまんがな。
 パ:えろうスンマヘン。
 水:気を取り直して。それで、その噂を解明すべく、俺とパンツマンとで屋上に調査
  に出かけたことがある。
パ:そうそう、あれは忘れもしない8月の10日! いや、9日? あれ、やっぱり8日
  やったかな。
水:忘れとるやないけ!
  ビシッ! 再びツッコミが入る。
  ……しばしの間。
水:ま、とにかく。それで屋上へのドアを開けると……噂どおり。何やら硫黄のような卵の腐った匂いが流れ込んで来るじゃないか。
パ:へえ、それで正体はいったい何やった?
水:匂いの正体はなぜか屋上に置かれたタルのようだった。
パ:タル?
水:そう、誰が置いたかしらないけど漬物でも漬けてるのか大きめのタルだったんだ。
パ:そんでそんで、中には一体何が入っとったん?
水:恐る恐るフタに手をかけた。すると、そこにはなぜか卵が一個あった。
パ:なんで本当に卵やねん。
水:それが本当なんだって。それにその卵なんだけど、色が普通じゃなかったんだ。あん
な青黒い色の殻、そして変に鋭く尖った楕円の形……明らかにこの世のどの動物の卵
とも 違う異形の産物だった。
パ:はあ、けったいな物ですな。よく一目で卵と判別できましたなあ。それで、あんさん
その卵をどうしなさったん?
水:割ったよ。だってこのまま孵化したら、もの凄い不吉なものが誕生するような気がし 
  たから。