学園怪談2 ~10年後の再会~

 上りきった斎条さんの姿をしたラストクライマーが私に手を伸ばしてきた。
「あ、あ、あああ!」
 私がウシガエルのような悲鳴を上げたのと、人影がラストクライマーに飛びかかったのは同時のタイミングだった!
ゴロゴロゴロ! ダーン!
人影は……斎条さんだった。二人は階段をもつれるようにして転がり、踊り場の壁に激突した。
 シュウウウウウ。
 そして、能勢さんや大ちゃんさんが階段を下り、斎条さんにたどり着いた時、ラストクライマーの身体は……煙のように消えた。
「えへへ、なんとか間に合ったわ」
 ペロリと舌を出しておどけた斎条さんを私は駆け寄って抱きしめた。
「あ、ありがとう。ありがとう斎条さん!」
 涙が出た。彼女は私の異変にいち早く気づき、捨て身の覚悟でラストクライマーに向かって行ったのだ。
 ……小さな身体に似合わない大胆な行動で私のピンチを救ってくれた斎条さん。生徒達が昔やっていた遊びは確かに実在した。
 10年経っても、変わらない怪談。まだまだこの新座学園には怪談が残されているに違いない。

残り22話