……誰かが唾を飲む音が聞こえる程に静かな校舎。薄暗い廊下はかろうじて非常灯の緑のランプで照らされているだけだ。本当にこの肝試しで『自分に似た誰か』は上ってくるのか?
全員が不安と好奇心でいっぱいの中、先頭の紫乃さんから階段を上りはじめた。
「うう、なんでこんな時ばかり私が先頭なの~」
怖がりつつもどこか陽気な紫乃さんは、ビクビクしながら階段を上る。
カツン、カツン、カツン。
おどおどしながら踊り場まで上ると、泣きそうな顔でこちらを振り返った紫乃さんは、意を決して残り半分を上りはじめた。
手すりに乗っかるくらいに体を寄せ、通常なら20秒もかからないだろう階段をゆうに1分はかけて上っていった。
……そして、何事もなく紫乃さんは3階まで上りきった。
続いての大ちゃんさんさんは早々に上りきった。
「よしゃ、次は俺か!」
徹さんの出番だ。
「いやいや、お約束のボケはいいですから」
私は1階への階段を降りようとした徹さんを掴んだ。
「ジョークだよ、ジョーク」
ビビリかと思った徹さんも、意外にあっさりと上りおえた。
「よ~し、噂の真相を探ってやろうじゃないの」
能勢さんは、ゆっくりと踏みしめながら一段一段上がっていった。
……西條さんも上りおえ、いよいよ私の番だ。
「気をつけていってらっしゃい」
後に控える赤羽先生、淳さんが見送ってくれる。
ドクドクドク。
私の心臓音が暗い校舎内に響く気がした。
全員が不安と好奇心でいっぱいの中、先頭の紫乃さんから階段を上りはじめた。
「うう、なんでこんな時ばかり私が先頭なの~」
怖がりつつもどこか陽気な紫乃さんは、ビクビクしながら階段を上る。
カツン、カツン、カツン。
おどおどしながら踊り場まで上ると、泣きそうな顔でこちらを振り返った紫乃さんは、意を決して残り半分を上りはじめた。
手すりに乗っかるくらいに体を寄せ、通常なら20秒もかからないだろう階段をゆうに1分はかけて上っていった。
……そして、何事もなく紫乃さんは3階まで上りきった。
続いての大ちゃんさんさんは早々に上りきった。
「よしゃ、次は俺か!」
徹さんの出番だ。
「いやいや、お約束のボケはいいですから」
私は1階への階段を降りようとした徹さんを掴んだ。
「ジョークだよ、ジョーク」
ビビリかと思った徹さんも、意外にあっさりと上りおえた。
「よ~し、噂の真相を探ってやろうじゃないの」
能勢さんは、ゆっくりと踏みしめながら一段一段上がっていった。
……西條さんも上りおえ、いよいよ私の番だ。
「気をつけていってらっしゃい」
後に控える赤羽先生、淳さんが見送ってくれる。
ドクドクドク。
私の心臓音が暗い校舎内に響く気がした。

