学園怪談2 ~10年後の再会~

 ……大人数でいるとはいえ、エレベーターの話で周りの空気が冷たくなった気がした。
「は、はは。こ、こえ~話だな」
 徹さんは紫乃さんの手をいつの間にか握っていた。
「それから警察が来て色々と調べていました。私も事情聴取をされましたが……信じてもらえる訳ありませんよね。行くはずのない行先へ行ったエレベーターで、ほんの数十秒の間に全身をバラバラに切断されたなんて話……」
 今でも残るエレベーター、二度と使われなくなったエレベーター。桜庭さんの身に一体何が起こったのか、それはわからない。でも、一つ言えることは死の直前……、人間は生命の危機に瀕した時には何かしらのサインのような予兆……というかを気配を感じるようだ。
「さ、さて。ここでの話はこれくらいにしましょうよ。早く音楽室に行かなきゃ」
 赤羽先生の言葉に全員が重い腰を上げた。
 ……立ち去る直前、最後に振り返ってエレベーターを見た私の目に……ランプの点滅したエレベーターが映った。
「……!」
 慌てて眼を擦って見直してみたけれど、やっぱりランプは消えていた。
「見間違い……だよね」
 私は桜庭さんの霊に少し祈りを捧げると、みんなを追って歩き出した。

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