カツ、カツ、パタパタ、ゴツゴツ。コツコツ。
様々な足音がぞろぞろと廊下に木霊すと、怪談をしているのではなく、何かピクニックや簡単な肝試しにでも来た気分になる。
「いやいや、こうして夜の校舎を大勢で歩くのは爽快だねえ」
徹さんもどうやら私と同じことを考えていたようだ。
「これだけ人がいれば何があっても大丈夫ですね」
私もついつい気が大きくなってしまう。
……怪談をしていた教室は一階だ。音楽室は特別室のある管理棟の方の3階にある。
「そういえば……私、今一つ怖い話を思い出しました」
一階の廊下の端っこまで来て、視線の先に見える給食室を見た瞬間、過去の記憶が甦って来た。
「お、キミが自分から怪談を話すのは珍しいんじゃないか?」
「本当ね、せっかくだから話してみてよ」
大ちゃんさんと赤羽先生は、ここぞとばかりに私に詰め寄ってきた。
……しかし、私は自分で撒いた種とはいえ、少しばかり後悔し始めていた。なぜなら、この話はあまりに惨い体験だったからだ。
「わかりました。じゃあ話しますので皆さんこちらへ来て下さい」
音楽室への移動はいったん休止し、みんなは給食室前の配膳台に腰かけたり寄りかかったりしながら私の話を待った。
「……みなさん、これを見てください」
私は給食室の出入り口横に見える小さな開閉ドア……小型のエレベーターを指さした。
「あ、これは給食の運搬用エレベーターだね」
淳さんはボタンをカチカチと押すが、現在は電源が落とされているのか、エレベーターは作動しない。
「昔、私がまだ在学中の頃、ここで恐ろしい体験をしてしまったんです」
思い出しただけでもゾッとしてしまう……そんな忘れたい記憶なのに、10年以上経った今でも私に鮮明に刻まれる記憶。
「私には仲の良い女の子がいました。その子はクラスでも飛びぬけて明るい女の子で、男女問わずに人気があったんです。とても背の低い女の子なのに、その小さな体以上に大きなパワーをもった子でした」
様々な足音がぞろぞろと廊下に木霊すと、怪談をしているのではなく、何かピクニックや簡単な肝試しにでも来た気分になる。
「いやいや、こうして夜の校舎を大勢で歩くのは爽快だねえ」
徹さんもどうやら私と同じことを考えていたようだ。
「これだけ人がいれば何があっても大丈夫ですね」
私もついつい気が大きくなってしまう。
……怪談をしていた教室は一階だ。音楽室は特別室のある管理棟の方の3階にある。
「そういえば……私、今一つ怖い話を思い出しました」
一階の廊下の端っこまで来て、視線の先に見える給食室を見た瞬間、過去の記憶が甦って来た。
「お、キミが自分から怪談を話すのは珍しいんじゃないか?」
「本当ね、せっかくだから話してみてよ」
大ちゃんさんと赤羽先生は、ここぞとばかりに私に詰め寄ってきた。
……しかし、私は自分で撒いた種とはいえ、少しばかり後悔し始めていた。なぜなら、この話はあまりに惨い体験だったからだ。
「わかりました。じゃあ話しますので皆さんこちらへ来て下さい」
音楽室への移動はいったん休止し、みんなは給食室前の配膳台に腰かけたり寄りかかったりしながら私の話を待った。
「……みなさん、これを見てください」
私は給食室の出入り口横に見える小さな開閉ドア……小型のエレベーターを指さした。
「あ、これは給食の運搬用エレベーターだね」
淳さんはボタンをカチカチと押すが、現在は電源が落とされているのか、エレベーターは作動しない。
「昔、私がまだ在学中の頃、ここで恐ろしい体験をしてしまったんです」
思い出しただけでもゾッとしてしまう……そんな忘れたい記憶なのに、10年以上経った今でも私に鮮明に刻まれる記憶。
「私には仲の良い女の子がいました。その子はクラスでも飛びぬけて明るい女の子で、男女問わずに人気があったんです。とても背の低い女の子なのに、その小さな体以上に大きなパワーをもった子でした」

