学園怪談２ ～１０年後の再会～

……次の日。
「あたたたた、頭がいたいな～」
　私は二日酔いでガンガンする頭を抑えながら起き上がった。
　結婚式の前日だというのに飲みすぎてしまったようだ。頭がだるく、全く動く気にならない。それでも結婚式には出席しない訳にはいかない。
　私は時計を見て時間を確認すると、バスタブにお湯を張るのは我慢してシャワーだけ浴びた。
『……お天気は以上です。夕立ちがあるかもしれませんので、折りたたみ傘のご用意を忘れずに』
　シャアアアア。
「フンフンフ～ン♪」
　一人暮らしは快適だ。お風呂のドアを開けっぱなしにして、好きな音楽をＢＧＭにしながらシャアワーが出来る。
　でも、今日は時間が無かったからＣＤを選ぶ事も無くテレビをつけていた。それがまさか……、あんなニュースが流れてくるなんて。
『……次のニュースです。昨夜未明……のマンションの屋上から飛び降り……正治さん２７歳会社員の男性が頭などを強く……病院に運ばれましたが間もなく死亡しました……』
「えっ！」
　不意に聞こえて来たニュースに、私の胸はドキリと鳴った。
　シャワーを止め、バスタオルを掴むと、慌ててテレビの前にすっ飛んでいく。
『……さんが飛び降りたと見られる現場には靴と遺書のような物があり、警察は自殺という見解で引き続き捜査を進めています』
「……間違いない、正治さんだ。でも、どうして……」
　その後もテレビでは近所のおばちゃんの証言などが放送されていたが、私にはそれらは頭に入ってこなかった。
　……遥の以前付き合っていた男性が自殺した。
　私の知る限りでは結婚の話が出る１ヶ月前までは、遥は正治さんと付き合っていた。それなりにうまくいっていたようだし、遥が私に彼氏を紹介してくることなんて今までになかったから、私は正治さんが婚約者だと勘違いしたくらいだ。
「はは、偶然……。偶然だよね」
　私は何か胸に湧き上がる二日酔いとは違うモノを腕で抑えつつ、時間がないのでいそいそと支度を始めた。