学園怪談2 ~10年後の再会~

 ……私、死ぬのかな?
 その時だった。
 私の上で大きな炸裂音と共に、駅員さんの重さが消えた。
 新鮮な空気が喉を通りぬけていくのがわかり、それと同時に頭のモヤが少しずつ晴れていく。
「ゲホゲホゲホ、ゲエホゲホゲホ!」
 苦しさと咳のために、涙目となったの視界に、倒れた駅員さんの姿が浮かび上がってきた。
 うつぶせに倒れてピクピクと痙攣する駅員さんの背中には、砕け散った伝言板の瓦礫が突き刺さっていた。
 おそらくは心臓を直撃したであろう。すぐに痙攣も治まり、後には私のゼイゼイとした苦しげな呼吸音だけが続いていた。
「……マ、マイ……」
 私の眼に、瓦礫のアチコチに書かれたマイのメッセージが飛び込んできた。
『SIOを助けて!』『この男から守って』

そして……『もう大丈夫、さようなら紫乃 マイより』

 私は最後に本名で送られたメッセージを目にすると、安堵と疲労で再び気を失った。

 ……。
「マイは死んでからもなお私を守るためにメッセージを通して見ていてくれたんだね。あとで聞いたんだけど、伝言板には何もマイのメッセージはかかれてなかったんだって」
 紫乃さんはハンカチで涙を拭うと、今は亡き親友のことに思いを馳せた。
「現世とあの世を結んだ伝言板ですか。もうなくなってしまったのが残念ですね」
 私は心に残った切ない気持ちを噛みしめるように言った。
 ……死してなお、友情というものは永遠なのだろうか。私には紫乃さんのような友情を育める友達が何人いるだろうか? 帰ったらとりあえずアルバムを見ようと思った。

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