学園怪談2 ~10年後の再会~

 ……あれはイタズラ。絶対に誰かのイタズラだ。
 私は呪文のように頭の中で繰り返し唱えた。でも、心のどこかではマイが生きていて、私宛にメッセージを残してくれているのではないかという可能性を考えてもいた。
 そして、この後も私宛のメッセージは続いた。
『今日の帰りの時間は絶対に7時過ぎちゃダメ MAI』
『明日の朝の電車、1本ずらして、車両も変えないと危ない MAI』
『日曜日の映画、白いカーディガンは着ないで MAI』
 私は初めこそこのメッセージをいぶかしんでいたものの、何か温かさを感じている自分に気づいた。何だか、本当にマイが私のことを守ってくれているような、そんな感じがしたからだ。
「マイ、あなたは本当に死んでしまったの? 自殺だったの? 私にはやっぱりあなたが自殺したなんて思えないよ」
 私は誰もいない校舎で一人泣いた。悲しくて、辛くて、そして二度と触れられないマイの温かさを感じて……。
 その日、私は文化祭の準備で帰りが遅くなっていた。
 文化祭前日、準備のために校舎に泊まり込んだり、近くの友達の家に集まったりと全生徒が一丸となって取り組むイベントだ。
「すっかり遅くなっちゃったな~」
 私は駅に来ていた。
 時刻は23時ちょうど。
 この駅を通る電車は早くも終了しており、駅構内は全く人通りがない。
「なんか怖いな。お化けとか出てきそう」
 父親に車の迎えを頼んだ私は、駅で待ち合わせていた。
……あ、そういえば、最近あまり掲示板に書き込みがなかったから今日は見るのを忘れてた。
私は薄暗くなった改札の隅においてある例の伝言板を覗き込んだ。
「あ!」
『今日は23時過ぎたら駅に来ちゃだめ! MAI』
 私はメッセージを見た途端、背筋にゾクッとしたものを感じた。
「ちょっと、キミ!」
「きゃっ!」
 その時、突然私の後ろから声がかけられた。