学園怪談2 ~10年後の再会~

 ……。
 淳さんの話がそこで止まった。
「お、おい、その話の続きはどうなったんだよ」
 徹さんが先を急かす。さすがに双子とはいえ、この話は淳さんから聞いていないようだった。
「新郎の拓海さんは家にいたよ。結婚するはずの花嫁さんと一緒にね」
「な、なんだよ、3人で何か話しでもしてたって事か」
 徹さんが冷や汗を拭きながら安堵のため息をつく。
「花嫁さんは……殺されたんだよ」
 そして、淳さんの衝撃の言葉に今度は息を飲んだ。
「な、なんで? なんで花嫁さんが拓海さんの家で殺されてるの? まさか……」
 赤羽先生は勘よく気づいたようで絶句した。残念ながら私には真意はわからない。しかし、すぐに淳さんがその真相を語ってくれた。
「……花嫁はね、純白のウエディングドレスを着せられて他のテルテル坊主と一緒に軒下に吊るされてたんだ」
 紫乃さんと斎条さんが同時に口元を抑えた。
「それじゃあまるで……」
 徹さんの言葉に淳さんは無表情に続けた。
「彼が友人によって部屋で発見されたとき、彼の母親は布団の中で死んでいた。恐らくは心臓麻痺によるショック死だ。そして彼は大きな植木バサミで、すでに事切れた花嫁さんの首を切ろうとしていたんだ。すでに正気ではなかったんだね。部屋中、また軒下に吊り下げられたままのテルテル坊主も、全部首をチョン切られていたそうだよ」
 ……。
 私は淳さんの話が終わった時、ようやく昔聞いた童謡のテルテル坊主を思い出した気がした。
『~テル坊主明日天気にしておくれ……それでも曇って泣いたならそなたの首を……』
 そして、その歌はいつまでの私の鼓膜の奥でエンドレスに流れていた。
 
残り27話