学園怪談2 ~10年後の再会~

6月。日本全国はほとんどが梅雨だ。梅雨前線も停滞したままで、当分は不安定な天気が続くと天気予報でも言っている。
「大丈夫だよ母さん。僕が必ず晴らしてみせる。だから元気になってね」
 ……拓海は結婚式の準備の合間、仕事の合間、眠る間を惜しんでテルテル坊主を作成したんだ。その数は大小あわせて100以上にものぼったらしいよ。
 しかし、どれだけ頑張っても数を増やしても天気は一向によくはならなかった。そして、それに呼応するかのように母の容態も更に悪化していった。
「だめだ、母さん! 死なないで! 大丈夫、大丈夫だから。絶対に明日の結婚式は晴れるから!」
 もはや晴れたところで結婚式に参加できるような状態でもなかったが、それでも拓海はテルテル坊主を作り続けた。
 ……。
 翌日、シトシトと雨が降り続く結婚式の会場は朝から騒然となった。会場にはいつまで経っても新郎新婦が現れず、花嫁の衣装も消えていたからだ。