第72話 『弁当工場』 語り手 石田徹

 さて、3週目最後の話は徹さんだ。『マグロ拾い』、『真実の口』に続いての実体験ストーリーは何が飛び出すのだろうか?
「徹さん、よろしくお願いします」
「ああ、さて、次の話なんだが、これは俺が夏の2週間だけやった、短期バイトの弁当工場での話だ」
 徹さんは今回もギャグ無しの面持ちで話し始めた。
「みんなは普通にコンビニ弁当を食べるかい?」
「俺は仕事柄よく食べるね」
 能勢さんは植木屋さんだ、外での仕事が多いし当然だろう。
「僕は……あまり食べないな、味が濃いし」
「私も好きではないですね。カロリーだって高いのばかりだし……あ、でもサンドイッチとかパンとかなら食べますけど」
 淳さんと斎条さんはあまりコンビニ弁当は食べないみたいだ。ちなみに私は週に一回は食べる機会があるように思う。
「……ふむふむ、それじゃあ、その弁当は工場でどんな風に作られているか教えてあげよう」