さすがの小松っちゃんでも、この『殺人映画』というDVDの解明にはあと一歩のところで及ばなかったのだ。
「でも、サブリミナル効果は私たちの肉眼では見えないんですよ値? もし、もし万が一にもそういう作品を見てしまった時には対策はどうしたらいいんでしょう?」
斎条さんが不安げな表情で聞いてくる。
「ないよ」
小松ちゃんは、冷たく突き放すような言葉、そして鋭い視線で斎条さんを睨みつけた。
「ひ、そ、そんな……」
更に縮こまって怯える斎条さん。
しかし、小松っちゃんは直ぐに優しい瞳に戻ると、穏やかな声で言った。
「大丈夫。普段、僕たちが見るテレビやスクリーンの映像には害のあるサブリミナル効果は映されないし、DVDなんかも市販のものは問題ないはずさ。手作りの物には注意が必要だけど、そんな手間のかかる技術のいる作業をやる人はそういないと思うよ」
「じゃあ、今あるこのDVDさえ見なければいいんだな」
徹さんが額の汗を拭いながら大きく息を吐いた。
「まあね、ただ僕がこのDVDの事を調べるにあたって何度となく『伊角十兵衛』の名前を目にしたよ。それが少し気がかりだったかな」
その名前をどこかで聞いた事があるような気がしたが、私には誰のことなのか思い出す事はできなかった。が、隣で淳さんが僅かばかりの動揺を見せているのに気がついた。
「どうしたんですか? 何か心当たりでもあるんですか?」
「伊角十兵衛は日本を代表するホラー映画の巨匠だ。彼はこの新座学園の卒業生で、『人間の死』をテーマに数々の名作、問題作を作り上げた監督だよ……今は刑務所の中だけどね」
その言葉に私は少し前にテレビで見たニュースを思い出した。『悪魔のゲーム』と称した作品を作り、その撮影で何人もの人を殺害して終身刑となった人物がいたことを。
「ま、まさか、このDVDにはその監督が絡んでいるという事でしょうか?」
私は誰かに否定して欲しかったが、恐らくは小松っちゃんの行き着いた推理を否定する事は誰にもできないだろう。
「ま、とにかくそのDVDは処分したよ。全国にあとどれだけの同じ物があるかはわからないけど、願わくばこれ以上の犠牲者は出てほしくないものだね」
小松っちゃんが言い終わると、彼の短パンのポケットから携帯の呼び出しが鳴り出した。
「でも、サブリミナル効果は私たちの肉眼では見えないんですよ値? もし、もし万が一にもそういう作品を見てしまった時には対策はどうしたらいいんでしょう?」
斎条さんが不安げな表情で聞いてくる。
「ないよ」
小松ちゃんは、冷たく突き放すような言葉、そして鋭い視線で斎条さんを睨みつけた。
「ひ、そ、そんな……」
更に縮こまって怯える斎条さん。
しかし、小松っちゃんは直ぐに優しい瞳に戻ると、穏やかな声で言った。
「大丈夫。普段、僕たちが見るテレビやスクリーンの映像には害のあるサブリミナル効果は映されないし、DVDなんかも市販のものは問題ないはずさ。手作りの物には注意が必要だけど、そんな手間のかかる技術のいる作業をやる人はそういないと思うよ」
「じゃあ、今あるこのDVDさえ見なければいいんだな」
徹さんが額の汗を拭いながら大きく息を吐いた。
「まあね、ただ僕がこのDVDの事を調べるにあたって何度となく『伊角十兵衛』の名前を目にしたよ。それが少し気がかりだったかな」
その名前をどこかで聞いた事があるような気がしたが、私には誰のことなのか思い出す事はできなかった。が、隣で淳さんが僅かばかりの動揺を見せているのに気がついた。
「どうしたんですか? 何か心当たりでもあるんですか?」
「伊角十兵衛は日本を代表するホラー映画の巨匠だ。彼はこの新座学園の卒業生で、『人間の死』をテーマに数々の名作、問題作を作り上げた監督だよ……今は刑務所の中だけどね」
その言葉に私は少し前にテレビで見たニュースを思い出した。『悪魔のゲーム』と称した作品を作り、その撮影で何人もの人を殺害して終身刑となった人物がいたことを。
「ま、まさか、このDVDにはその監督が絡んでいるという事でしょうか?」
私は誰かに否定して欲しかったが、恐らくは小松っちゃんの行き着いた推理を否定する事は誰にもできないだろう。
「ま、とにかくそのDVDは処分したよ。全国にあとどれだけの同じ物があるかはわからないけど、願わくばこれ以上の犠牲者は出てほしくないものだね」
小松っちゃんが言い終わると、彼の短パンのポケットから携帯の呼び出しが鳴り出した。

