イツワリノ恋人

「それで、どうだった?神崎君との初夜は!」
「初夜とか言うな!」

朝っぱらから何を言い出すんだこいつは!

まあ、教室に入ってすぐに抱きつかれ、この台詞を叫ばれて。
クラス中の視線が集まった。
うぅ…。
誰か、このGAMEのオヒメサマになったことに同情してくれる人は…いないよな、やっぱり。

「何も無いし、その予定は無い」
「えぇー、つまんなーい」「ねえ、如月さん」

絢加の声に重なる別の声。
あーあ、覚悟はしてたが…。

「放課後…時間ある?」
「…あ、うん」

やっぱり来たか、”お呼び出し”。
昔のマンガだけかと思ってた。

「じゃあ、呼びにくるから」
「わかった」

彼女…瀬戸さんは取り巻きの女子のところに走っていった。
瀬戸さんって、美人だが、取り巻き以外の友達はいない。
”カップルクラッシャー”って陰で呼ばれているのを聞いたこともある。

「…麗、大丈夫?」
「ああ、全然平気だ」
「私もついていこうか?」
「大丈夫だ。せいぜい殴られるだけだろう。心配しなくていい」
「そう…?」

ほんとにそんなに心配しなくてもいいんだけどなあ。
強いってほどじゃないけど、一応空手の有段者だし。

それより、今までのオヒメサマ大変だっただろうな…。
呼び出しとか食らったり。
…でも、皆あの男が好きだったみたいだから、そんなに苦じゃなかったのか…?