イツワリノ恋人

「それじゃあ、GAMEについて話そうか」

あぁ…。
いろいろあったから、すっかり忘れていた。

「俺の祖父は神崎グループの総帥。俺は神崎グループの御曹司」
「…あの神崎グループか?」
「一般人でも知ってるくらい、でかい企業だってこと。それで、このGAMEは俺の婚約者探し。シンデレラの舞踏会だと思えばいい」

うわー…。
何か上から目線?
というか、貴様の童話的解釈など知るか、と言いたいんだが。

「親が決めた相手とかがいるんじゃないのか?」
「…やっぱり、自分も相手も想いあってないと。神崎グループの名は、人一人の一生を軽く狂わせる。そういう意味も含めて、婚約者候補を吟味するんだ」
「…なんで私が婚約者候補なんだ」

これが、まず1番の疑問だった。

「俺のこと知らなかったでしょ?今までの子は、皆それ知ってて媚びてくる子だったし」
即効でGAME終了だよ。

自嘲気味に吐き出す瑠衣の顔は…哂っていた。
最高に冷たいまなざしで。

「媚びない子を探してたら、絢加が教えてくれた」
「は?」

いきなり出てきた親友の名前に驚きを隠せない。
あ や か ?

「ああ、絢加は従兄妹だから」
「~っ!」

あいつ!