イツワリノ恋人

毎日は、麗がいなくても過ぎていく。

麗がいなくなって2週間。
捜査にも進展はないらしい。
今ではクラスメイトも、誰も気にした様子はない。

…イライラする。
クラスメイトにも、何もできない自分にも。

『あの、そこにいると先生、入れないのですが…』
『すみません』
『クラスに早く戻りなさい』

どこに行ったの?麗…。



『絢加~』

放課後、部活をサボろうとした私にかけよってきたのは、写真部の美佳。

『ねえ、写真集出来上がったの!見に来ない?』

写真、かぁ。
麗が好きだったなあ。

『いいよ』
『やった!絢加ってセンスいいもんね。この前の写真のアングルのアドバイスしてくれたの、先生に褒められたんだよ!』
『ああ、そうなの?』

あれは、麗のアドバイスなんだけどね…。

写真部の部室内には、たくさん写真が貼ってある。
顧問の写真もあれば、美佳の写真もある。
麗がよく入り浸ってたなぁ。
いっそ、写真部に入部しろよって思うほどに。

ふ、と。
顧問が使っている机が目に入った。
あさり始めた頃に、美佳が写真集を片手に走ってきた。

『絢加!やめてよ、先生に見つかったら怒られるんだから~』
『大丈夫、先生出張中だから』

嘘ではない。
顧問の先生は社会科も担当している。
急な出張で、今日はもう学校には戻らないということも聞いていた。

引き出しの中身は、写真やマニュアルばかりで、正直面白くない。
一番下の引き出しを引こうとすると、抵抗があった。

『…鍵かかってる』