イツワリノ恋人

目が覚めてからのことは、思い出したくもない。
ただただ、犯され続けた。

繰り返される行為。
抵抗すれば殴られる。
逃げようとしても殴られる。
先生が留守のあいだは、別の男がいた。


もう、ここから出られないのか…?





絢加side

『電話くれるって言ったのに…』

麗のバカ。
12時になっても電話しないなんてどういうことよ!
電話してみたけど、繋がらないし。

プルルルル、プルルルルル…。

麗かと思ったけど、鳴ったのはケータイじゃなくて家の固定電話。
がっかりして、読みかけていた漫画に目を戻す。

『絢加ー?麗ちゃんの家から電話よー』

へ?

『今いく!』

何だ、充電でも切れたのかな。
心配したじゃん、ちょっとだけ。

『はいはい、麗ー…』『絢加ちゃん、麗がどこにいるか知らない!?』

切羽詰った様子で聞いてきたのは、麗じゃなくて…。

『アン叔母さん?麗がどうしたんですか?』
『友達の家に行くって言ってから戻ってこないのよ…』

え?
麗が?

『…彼氏の家は?麗、よく泊まってましたよね?』
『いいえ、彼、いま留学中だから…』

どうしよう、本当に麗は今、行方不明だ。
私の家の近くで、私は麗と会っている。

(一人でこいって言われてるし…)

誰かに会いに行ったのは間違いない。
でも、誰だ…?

『なにか思いついたら、電話します』
『ええ、じゃあ、夜遅くにごめんなさいね』