イツワリノ恋人

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「如月さん、瑠衣に告白してくれない?」
「は?」

…何を言っている?

ここは人が滅多に来ない、体育館倉庫の裏。
瀬戸さんだけだと思いたかったんだが、やっぱり何人も他の女子がいた。
後ろのほうには男子もいる。

あ…。
何か嫌な予感がする。

「何故?私はあの男のことが嫌いなんだが?」

「嫌いならいいでしょ」
「…あれ、この子何にも知らないんじゃないの?」
「知らないなら教えてあげればいいじゃん?」

「瑠衣はね…」

一歩、一歩、また一歩…。
ゆっくりと私に歩み寄りながら瀬戸さんが口を開く。

「自分を好きになったオヒメサマには絶対にしゃべらないの」
私が無視されたのもみたでしょ?

だからなんだと言うんだ?
それはお前たちと瑠衣の問題だろう?

「だから…」
「私は、このGAMEをやめる気はない」

一瞬で凍りつく空気。

「今、なんて…?」
「…私は、”こういうこと”が大嫌いなんだ」

だから。

「お前たちのいうコトを聞くなら、続けたほうがマシだって言っている」

GAMEは止めない、と遠まわしに伝える。
ここで殴られるくらいの覚悟はしていた。
でも…。

「…言うこと聞かないならしょうがないわね」
「出てきていいってよー」

後ろにいた男子の声で校舎の影から現れる十人近くの男子たち。

殴られる覚悟は。
すぐに恐怖へと変換された。