図書室で、恋。




「悠太ね、怪我したんだ。
いつも自転車置き場で待ってるんだけど、いつまでたっても来なくって。

やっと来たかと思えば、私にまだいたんだ、なんて言うし、付き添いのマネージャーの子とは、ものすごく良い雰囲気でさ。

なんかね、どんどん悠太が遠くなっていくの。
傍にいたはずの悠太が、どんどん私から離れて行っちゃうんだ。」


「……。」


大和くんは本に視線を落したまま、黙っていた。


「もちろん、幼なじみのエゴっていうか、無駄な独占欲というか。
彼女でもないのに、何言ってるんだってことは分かってるよ、そんなことは当の昔に分かってる。

でも、ただ、とにかく虚しくて。なんか、あっという間だなって。」


上手く言葉に出来ない。

悠太のこと、思えば思うほど、言葉が出てこない。


「重いし、キモイし、めんどくさい女ってことも分かってる。でも…でもさ。」

私は唇をぎゅっと噛んだ。


「……男は鈍感だから。」


大和くんはそう呟いた。


「ちゃんと、陽彩ちゃんの気持ちをそいつに伝えねぇと。女が思っている以上に、男は馬鹿だからな。」

「……。」

「淡い期待なんて抱かねぇ方がいいぞ。私がこんだけ想ってるんだからきっと伝わってる、だなんてな。」

「……。」

「想えば叶うだなんて、テレビや漫画の話だからな。そんなんで叶ってたら、みんな夢叶っちまう。」

大和くんは眉をひそめて笑った。