「大和くんは…」
私は空中に視線を向けながら、ポツリと話す。
「大和くんは池本先生のこと、好きじゃないの?」
「は、なんだよ。話戻すのか。」
「いや、そうじゃなくて……。私には分からないよ、分からない。」
大和くんは前に、流されてばっかりって話してたよね。
私のこと、純粋で羨ましいって。
大和くんは呆れたように、ふぅーと息を吐く。
「大人と子供の世界の話だよ。大人にはそういう事情があんだよ。」
「そんな…そんな人ばかりじゃない。」
「はぁー、陽彩ちゃんには理解出来ないよ。」
大和くんは分厚い本を持って、私の向かい斜め右の席に腰を下ろし、読み始めた。
「幼なじみと上手くいってないのか?」
「えっ…」
「ついこの間までルンルンだったのに。」
大和くんは視線を本に落としたまま聞いた。
そこには、なんだかいつもの優しい大和くんがいたような気がした。
大和くん、なんでもお見通しなんだね。
「私…大和くんに色々聞いて欲しくて。本当はしばらく図書室に来る必要も無くなっちゃったんだけど、でも…」
「ん、ごちゃごちゃいいから話してみ。いつものように、弾丸トーク。」
視線を私に向けた大和くんの声と目は、さっきまでとは打って変わって、優しくて…
あぁ、やっぱり大和くんは大和くんだなぁ、なんて訳の分からないことを思って、そして少しだけ泣きそうになった。
「悠太にとって、私はどこまでいってもただの幼なじみなんだろうな、って思って…。
悠太は私のことなんて大して必要としてないんだろうな、って…。
そう考えると、悲しくて、虚しくて、切なくなる。」
私は俯きながら喋った。

