『美味しい?』

「あぁ。」

一緒のお昼ご飯は決まって屋上。
人気の少ない屋上で、
並んで食べる。

特に会話があるわけじゃない。
ほぼ、あたしから話しかけないと、
尚央は話さない。

それでも。

『今日の放課後、尚央の家に
 行ってもいい?』

「あぁ…。」

あたしが話しかけると、
尚央は必ず答えてくれる。

優しい尚央は、あたしを
無視したりしない。


「………アイ。」

『はい?』

突然声を掛けられ、尚央の方へ
バッと向くと……。

『…んっ。』

いきなりのkiss。
そして、長い。

『んっ。はぁ…。ちょッ///』

<と待って>と言おうとしたが、
すぐに唇で塞がれてしまった。


………忘れてた。
尚央って、たまにkiss魔に
なるんだった。


尚央の舌があたしの舌先に触れる。

歯茎の内側を刺激するように
舐め上げられ、あたしの頭は
ボーッとしてきた。

右手は腰。左手は後頭部。
そうやってしっかり支えられている
あたしの両腕は、尚央の首に
巻き付けてて…。

『……んんっ…。』

鼻から出る吐息が甘さを増すと、
尚央は唇を離す。

『…はぁ…。どうしたの?』

首をかしげながら、
あたしはそう言う。

「これ以上すると…。身が危険。」

少しだけ照れた風に、
尚央はそう言った。

……////

「顔、赤い。大丈夫か?」

そして、尚央は鈍感で天然…。

『平気。お昼休み、もう終わるから
 帰ろっか?』

「あぁ…。」

尚央はそう言って
スタスタッと屋上の扉の方に
歩き出す。

「待ってるから、慌てなくていい。」