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「いらっしゃいませー。」
今日も今日とてこのなんだか良さげなバーに、元気な声が響き渡る。
「よっす。相変わらず混んでるな。」
「お陰様で。大繁盛ですよん。お前も相変わらずイケメンな。」
「…お前、また来たのかよ。暇人か。」
「ちょ、店長!これでも立派なお客様!
毎週のように来てはお金使ってくれるお客様!
そしてイケメンがいるからって女性客が釣れるんだからいいじゃないっすか!」
「…え、なんだろうこれ。泣いていい?おれ泣いていい?」
「あたしの胸を貸してやろうか?」
「よし。貸せ。」
「誰が貸すか馬鹿。人の嫁に何言ってんだ馬鹿。
こいつに手ェ出したら締めるぞコラ。」
「…店長、なかなか恥ずかしいこと言ってるって気づいて!すぐ気づいて!」
お客様と従業員に暴言を吐く店長と、店長に絡みにいって返り討ちに合う従業員が仲良く経営しているこのバーでは、
度々ド天然で強烈な惚気が見られるとか見られないとか。
「は?恥ずかしくねぇよ。お前は俺の嫁だろ。当然のことを言ってるだけだ。」
「それが恥ずかしいって言ってんすよ。
店長は黙って旦那様してて!余計なことは言わない!」
「うるせぇ。俺が何を言おうと俺の勝手だ。お前こそやんややんや言わないで黙って俺の隣にいろ。」
「…それは言われなくてもそうしますけど!いなくなれって言われても居座りますけど!」
そんな2人のやり取りを、客とスタッフは暖かい目で見守るんだとか。
「…んだよお前ら。こっち見んな。そんなに見てもこいつはやんねーぞ。」
「…店長って最近鬼畜じゃなくてただのアホですよね。」
「アホって聞こえた気がするけど俺の気のせいだよな?
と言うことで解雇でいいか?」
「さーせん!店長マジさーせん!」
「反省してねぇな。
履歴書はシュレッダーかけとくからな。
明日から自宅待機だ。」
「すす、すいません!反省してるので解雇だけは!
履歴書のシュレッダー行きはどうかやめてくださいお願いします!」
「黙って仕事しろ馬鹿。」
「おす!張り切って働かせていただきます!」
…生暖かい目で見守るんだとか。
end

