「なんか、すげぇなお前の家族」
「うるさかったでしょう?」
帰りの車の中、二人になると急に静かになったような感覚だか、今までがうるさすぎたのだ。
帰りも弟とお母さんがひたすら手を振って「また来てねー!」と叫んでいた。
「いや、お前が育ってきた環境が見れて楽しかった」
あの家族あってのあたしですよ。
「お前は完全に母親似だな」
「それは小学生の時点で自覚しました」
「ぶはっ まぁなんだ、来てよかったよ。あったかい家族だ」
「…そういってもらえると嬉しいです」
なんだかんだあたしも家族のことは大好きなので、褒めてもらったみたいで嬉しい。
「次は泊まりだな」
「その前にあたしも店長のご家族にご挨拶に行ってみたいです!」
「あー…俺の家もなかなか大変だぞ?」
「望むところです」
「なんだそれ。まぁ、予定聞いとくわ」
「はい!楽しみにしておきます!」
店長の育った環境とか、店長を育ててくれた人とか、そういうのに触れられるのってなんかうれしい!
「店長!手土産は何がいいですか?」
「気が早いよ馬鹿」
「挨拶は息子さんをくださいでいいですか?」
「なに、俺がもらわれる感じなの?」
「だって、店長あたしのこともらってくれるんですか?」
「……お前がもう少し家のこととかできるようになったら考えてやるよ」
「マジですか。じゃあ収納テクニックとか身に付けておきますね!」
「……お前って本当に馬鹿なのな」
「失敬な!」
前を向いて運転する店長の耳が赤くなっている横、実はあたしも顔が熱くなっているし全力でにやけているが、運転中の店長には見えないだろう。
ふはは、なんだこの恥ずかしい空気は。
「店長、ババ抜きでもしますか」
「運転中の人間にトランプを勧めるな馬鹿」
end