「これ、食わねーの?俺食っちゃうよ?」

「だ、ダメです!店長があたしにくれたんじゃないですか!あたしが食べます!」



店長が考えた一人用の小さなクリスマスケーキ。

甘酸っぱいベリーのソースがたっぷりかかった、甘さ控えめなクリーム。



一口口に運べば、あたしの顔は自然と笑顔になる。

店長があたしのために作ってくれたと思うと、それだけおいしく感じられるものだ。



「お前は相変わらず美味そうに食うな」


「おいしいんですから仕方ないじゃないですか」


「それ、俺からのクリスマスプレゼントってことで。メリークリスマス」



まさか店長からメリークリスマスが聞けるとは!!



「あ!ちょっと待っててくださいね!」



そこで思い出したのがあの紺色の袋。

1000円ショッピングというびっくりする安さだけど、店長に似あうと思って買ったあのピアス。



「店長、メリークリスマス!」

「あ?なにこれ?」


「プレゼント以外の何に見えるっていうんですか?」

「俺に?」

「店長にじゃないんならここで出しませんよ」



「…マジか」



手渡した紺色の袋を見つめて、口に手を当て小さく呟いた店長。


その目はなんだか恥ずかしそうな、でも嬉しさを隠しきれてない輝きを放っていて……

そんなに喜んでもらえるんならもっとちゃんとしたもの買えばよかった!!



なに1000円って!
確かに気持ちはこもってるけど、1000円って!!



「店長、あのですね、それ本当に安物で、あの…」


「開けていい?」


うわぁ目の輝きがとどまることを知らないよ!!