なんとも怪しい言葉を残してバックヤードに引っ込んだ店長。
どうせあれだろ。
店長の魂胆なんてお見通しさ。
だってこのくだり何回か見たからね。
と、どうせ出てくるだろう緑色のおつまみを思い描いていたら、店長がバックヤードからゆっくり出てくる。
「て、店長?!それって…」
「うまそうなケーキだろおい?」
その手には先程あたしが少しの恨みをこめながらも運びまくった店長特製クリスマスケーキが。
そして、それを持つ店長の頭には、赤と白の見覚えのあるサンタ帽子。
「て、て店長?!サンタさん!」
「俺のサンタ姿が見れて満足か?」
「…なんで全身じゃないんですか」
「は?お前な、帽子だけで十分気分はサンタだろ。あんなもん全身で買えるかよ。文句言うな。で、お前はこれな」
「トナカイ!」
ケーキをカウンターに置いて、店長が取り出したのはトナカイ角のカチューシャ。
それをあたしの頭に突き刺した。
「今日は無理に呼んで悪かったな。これは、詫び。」
そう言ってケーキを私の前に差し出した店長。
絶対に枝豆が出てくると思って疑っていなかったあたしにとって、これほどのサプライズはない。
「あたしが食べていいんですか?」
「さすがにここで食うなっては言えねぇだろ。お前のためにとっといてやったんだから、ちゃんと食えよ」
「やったぁ!ありがとうございます店長!!」
これだけで今日来てよかったって思えるっす!!

