「なんだ、あいつに泣かされたのかと思ったのに」
その通りですよ。
全くもってその通りです。
むしろ自分から泣きましたよ。
「そんなわけないじゃないですか。で、何かあったんですか?」
「あーあーあのさー?お前、今日の夜ってパーリナイなんだっけか?」
「その予定ですね」
「…ついにこの券を使うときが来たようだ」
「券?なんのことですか?」
「あれだよあれ。誕生日の時くれただろ。ヘルプ券。それ、今使わせろ」
「え、そんなものまだちゃんと持ってたんすか?!」
あの店長が誕生日の時にあげたというか押し付けた、シフト交換券、ヘルプはいる券2種類3セット6枚組のことを言ってるんだよねこれ?
あんなもん、速攻捨てられると思ってたよ!
「…悪いかよ。で、ヘルプしてくれんの?」
「あ、いや、その…」
「まぁ、これねぇなら別にいいよ。こっちで何とかするし。…せっかくのデートだもんな。」
なんかそんな感じで言われたら、いけませんとは言いにくいじゃないか。
あたしが渡したあんなふざけた券をいまだに手元に持っててくれた店長のためにも、ここは店長のお願いに応じるべきなんじゃないかあたし。
でも、パーリナイはどうしよう。

