「ほらな」
「や、今のは、違う、別に…」
「何が違うの?嫌なんだろ?」
「嫌なわけじゃなくて…」
「なら、本能的に触られたくないと思ってんのかな。お前、自分じゃ気づいてないと思うけど、普段から結構人との接触警戒しまくりだぞ?」
「そんなことないよ…店長とか、平気だもん」
「そう、それだよ。お前、店長さんには平気な顔して頭触らせてんだよ。オレは飲み会でつぶれたお前くらいにしか触ったことないのに」
「…なんかその表現はいやだな」
「…とにかく、店長さんに大人しくなでられてるお前を見て、オレはもう勝てねーんだなと悟ったわけ」
「…何の話よ」
「だからー…オレは、お前のことが好きだけど、店長さんには敵わないから身を引こうって話」
「な、なんでそんな話になってんの?!あたし、あたしは、あんたのこと、好きで、今までこうやって…」
「じゃあ聞くけど、お前オレとキスできる?それ以上のことは?」
「……で、できる、」
「手を握られてるだけで警戒心マックスなくせに?」
「だから、それは、慣れれば…」
「一年の時からこうやって近くにいて、まだ慣れない?」
「……今日のお前、いじわるだ」
「だって、ここで間違えたらもうお前と今まで通りの関係じゃいられなくなんだろ」

