「は、はぁ?なんで、あたしが、店長のこと…」
「好きじゃねーの?」
「そりゃ、好きか嫌いか聞かれたら…好きだけど…」
「そういうことじゃなくて、男として、好きなんだろ?」
「ち、ちがっ!あたしは、あんたのことが…」
「好きだった?」
「す、好きですよ?」
「…今、オレと付き合ってって言ったら、お前オレと付き合える?」
「なっ、つ、付き合えるよ!」
「手もつなげないのに?」
「それは…!ちょっと緊張しただけだ!慣れれば、大丈夫」
「じゃあ、手、出して」
「……なんで、」
「いいから、出して」
そっとテーブルの上に右手を出すと、その手をぐっと掴まれた。
それだけで緊張が走る身体。
思わず手を引いてしまったが、強く握られた手は離されることがなかった。
「めちゃめちゃ力入ってんな」
「お前が、強く掴むからだろ…もういいでしょ、離して」
「まだ駄目。お前さ、人に触られるの、極端に嫌がるよな」
「そんなこと、ないよ。別に普通に…」
「特に頭とか、絶対触らせないだろ」
そう言って、掴んでいる手を引っ張り、あたしが前かがみになったところであたしを掴む手とは逆の手があたしの頭に伸びてくる。
あたしはその手を、避けてしまった。

