「店長、明日何の日か知ってます?」


「あー、祝日だよな。何の日だっけ?」


「敬老の日です。」


「…で、それを聞いて何の意味があるんだ?」


「祝ってあげましょうか?敬老の日。」


「なるほど。お前俺にケンカ売りたいわけだな。よし、買ってやる。」


「やー店長が怒ったよー!」





「……あの、あなたたち今仕事中ですよね。」



呆れた顔を隠そうともしないイケメン野郎がため息をついた。


ちなみに今はカウンター席に座るイケメン野郎の前、絶賛仕事中である。



あたしは空いたグラスを洗って拭いていて、店長はおつまみを調理中。



「いっつもこんな感じだよ。」


「まあ、こんな感じだわな。」


「…他のお客さん、怒ったりしないんですか?」


「アットホームな雰囲気を演出しているだけだ。確かにいつもはここまでおおっぴらにやらないけどな。」


「言われてみれば普通のお客さんの前だともっと一般的な世間話しかしませんね。」


「…話はしてるわけだな。」


「忙しいときは黙々と仕事こなすよ?でも今日日曜日だし、客足落ち着いてお客さん少ないジャン?だから大丈夫!」


「そんなドヤ顔されてもな。」