そんなあたしが一番辛かったのは両親のことだった。
やり終えて帰ってきて、母親の笑顔を見ることが苦痛。
娘が薄汚れていることも知らずに、ご飯を作ったり
いつも変わらない笑顔を見せる母親に罪悪感があった。
何回もやめようと思ったのに、やめられない。


これ以上、辛いことはない。
そう思っていた。
なのに、闇があたしを飲み込んだ。


その時付き合っていた、大阪の彼氏がいた。
その彼氏はいかにもイケメンとゆう部類に入る顔をしていて
それでいて優しくて。
サイトを通じて知り合ったあたしは、好きになった。



彼は、長期の休みを利用してあたしの地元まで
会いに来てくれた。
一日中いちゃいちゃしていて
夜になってまた抜け出して
遊んでいた。
次の日、彼が帰るってときに
母親に携帯が見つかった。
あたしは丁度化粧していて、母親が布団をめくった。
「なにこれ?」
母親の方を振り向くと、しっかりあたしの携帯が握られていた。
『え・・・。あ・・』
答えられないあたしを見て
「これどうしたの!誰に買ってもらったの!」
あたしはとっさに
『ゆりかの・・!ゆりかから借りたの!』
関係のない友達の名前を出して、必死にごまかそうした。
だけど、母親の目はごまかせなかった。
「・・・じゃあ、ゆりかちゃんに返しにいきましょう」
あたしの頭は真っ白だった。
『でも、今日ゆりかと図書館行く約束してる!だからそのときでいいじゃん』
「じゃあ、その図書館まで送ってあげるから。車乗りなさい」
ゆりかと約束なんかしていないことに気付いたのかそう言われた。
とりあえず車に乗って、図書館についた。

『・・・じゃあ返してくる・・・』
「私も一緒にいきます」
『いいから!一人でいけるから!』
あたしは少し涙目になりながら、母親を説得した。


中に入るとゆりかではなく、あたしの彼がいた。
事前にそこに呼び出しておいたのが、運のつきだった。
『母親に見つかってさ・・・後で取りに来るから、それでまでもってて』
彼は快く了解してくれた。


「返してきたの?」
『うん・・・』
「あとで、買い物行くから呼んだらおりてきて」
援助交際した時は、あんなに罪悪感があったのに
今は怒りしかない。


そのときあたしは決めた。



この家でよう。