夏休みは毎日というくらい朱里と一緒にいた。
ある日は、地元の駅にたまったり
またある日は、都会の方に出てみたり


そんな周りの中学生がやっているようなことを
毎日飽きずに繰り返した。



ある日、いつものように朱里と駅にたまっていたとき
~♪~♪~
朱里のポケットに入っていた携帯から着信音がした。
朱里は話すのをやめて、携帯をとりだした。
すぐに、顔が緩み
あたしは、彼氏だなと直感した。
「今からさ、彼氏が友達連れてこっち来たいって言ってるんだけど
呼んでもいいかな?」
断る理由もなかったから
『全然いいよ~』
1時間後。
電車から降りてきた二人組に
目を疑った。
高校生には見えないほどいかつい。
「よぉ~。朱里久しぶりだなぁ」
「拓くん久しぶり!」
朱里の彼氏と思われるほうは、身長も高くて大人っぽい。
隣にいる人に目が釘付けになった。
目はくっきりの二重。
鼻はそれほど高くないが
顔が整ってる。
それ以上にあたしの目を釘付けにしたのは
耳にぶら下がっているピアスだった。
両耳にたくさんのピアス。
あたしの視線に気が付くと彼はにっこり笑った。
その笑顔はとても年上には見えないくらいかわいかった。

「隣にいるのが美奈!」
朱里が彼氏に紹介している。
「あ・・・初めまして・・・」
正面から見るとやっぱりいかつい。
「あはは(笑)そんなにかしこまらなくていいよ(笑)」
いかつい印象とはまるで逆の笑顔で、あたしの肩を叩く。
「は、はぁ・・・。」
あたしは苦笑いするしかなかった。
「そっちの人は誰?」
朱里がきょとんとした顔で聞く。
「ん?あぁ、こいつは達郎。自己紹介しろよー(笑)」
達郎さんっていうんだ・・・。
「あ、えっと、達郎です。よろしく」
「もっとなんかあるだろ(笑)」
「うっせー」
少し赤らむ顔が可愛かった。



そのあと、朱里の家に4人で行って世間話やら朱里達のことに
ついて聞かせてもらった。
楽しい時間はあっとゆーまに過ぎて
あたしは帰る時間になってしまった。
『じゃあ、あたし帰るね。』
朱里にそう言うと
「今日ありがとね」
そっと言われた。
階段をおりて、玄関のドアノブに手をかけたときだった。
「美奈ちゃん!!」
あたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。
誰かな?と思って後ろを振り向くとそこには達郎さんがいた。
『た、達郎さん・・』
「また・・遊ぼうね!」
またあの笑顔で言う。
「はいっ!」
あたしもとびきりの笑顔で返す。
また赤らむ。
手を振って朱里の家をでる。
『あの顔は反則だよ・・・』
火照った顔のまま
家に帰った。