初めて、悪いことをしたのは中学2年生の夏休み前だった。
同じクラスの朱里に誘われて、始めたのがきっかけだった。







「美奈~おはよ~」
『朱里。おはよ~』
夏休みが近いからか、みんなそわそわしている。
あたし達も例外ではなかった。
「夏休みさ、なんか予定とかあるの~?」
朱里が真っ黒の髪をいじりながら聞いてくる。
『んー。特にないかな。朱里は?』
あたしがそう聞くと、朱里は髪をいじってた手を止め
あたしに顔を近づけてきた。
「実はさ、3個上の彼氏ができたんだ(笑)」
少し顔を赤らめて嬉しそうにほほ笑む。
『まじ?!3個上ってことはー・・・17?』
「うん!」
『そんな年上とどこで知り合うの(笑)』
「んー。SNSとかかな?美奈もやってみれば?年上の彼氏できるかもよ(笑)」
朱里がにやっとしてすすめてきた。
『えー(笑)でもSNSって携帯なきゃでしょ??』
中学2年生のあたしはまだ携帯を持っていなかった。
親が厳しくて、高校生になるまで買ってもらえなかった。
それに比べ、朱里は携帯を持っていてとてもうらやましかった。
「あー。たしかに。携帯持ってないんだもんね」
『うんー。あっ、先生きた』
「あ、やば。じゃあ、またあとでね!」
急ぎ足で、自分の席に戻っていく朱里を笑顔で見送り
前を向く。
携帯かぁ・・・。
でも、親は絶対買ってくれない。
『はぁ・・・。』
そんな気持ちで夏休み前最後の学校が終わった。