バサッ─


雨がしたたかに降る中、黒い光のもやが辺りに散った。



ユウトの背中から、それは曖昧な形をして“生えて”いる。


ユウトは、地面を押すように、押し込むように蹴りあげた。




すると、絽美を抱えたユウトは、空高く舞い上がる。


そう──その体は、飛んでいた。