「…どうする?どう見る?」


絽美は神経を、周りに一周させた。


どうやら動いてくる気配はない。


絽美はそっと、息を吐いた。



「戻ろう。速攻で。」


「了解。」


ユウトは短く呟くと、くるっと振り向いた。



そのまま、絽美を抱え上げる。


空気がざわついたのがわかった。


─何をする気だ?─


そんな、疑問の目が向けられる。



ユウトは“いつも通り”、背中に力を集中させた。