「って…大丈夫?怖かった?」


気がつけば、絽美は噛まれた首筋に手を当て、自分を抱くようにしていた。


微かに震える体に、少年は手を伸ばす。


「ごめんね…でもね、君の血は、すごく美味しかった。今までのがより不味いと思えるくらいに。」


絽美は顔を上げた。


するとちょうど、少年が目の前にいた。


そのまま成す術(すべ)もなく、少年に抱き締められる。


人の温もりを感じた。