絽美は惹かれるかのように、少年に近づいた。


白いTシャツに黒いシャツ、七分丈のズボンにブーツを履いているのがわかる。


絽美が少年の隣にしゃがむと、じーっと見つめていた少年と目があった。


「…パン…食べる?」


絽美はドサッと2人の間に紙袋を置いた。


少年の目はそれに向けられる。


そして絽美を見て、ゆっくりと首を振った。


「今は…………が…飲みたい…」


少年の低い声は、途中でかすれた。


「何?…もしかして、さ…“ヴァンパイア”ってやつ?」


絽美は少年の隣に、壁に背をつけるように座った。