「今食べてもいいのなら。」


絽美が道路から呟くと、おばさんはニカッと笑った。


「全然いいよ!」


絽美は林檎を受け取った後、おばさんの近状を聞いた。


“夢使い”がこの町に認識されたのはつい最近だから、絽美は新鮮な気持ちだった。


「じゃあ気をつけてお帰りよー」


陽気に手を振るおばさんに会釈をして、絽美は林檎をかじった。


しばらく食べ進めていると、一本の路地裏に人が座っているのが視界に入った。


ぐったりとしているようだ。