ユノが見えなくなると、絽美は書いてもらった紙とペンをしまうと、タッパーを包み直した。


そして家へと続く渡り廊下を歩き、また家に戻った。


例のソファーの後ろにあるキッチンに包みを置くと、満足気に微笑んだ。


「今日の夕飯ゲットー♪」


すると、階段を下りてくる音が聞こえた。


リビングと玄関から伸びる廊下を仕切る壁から顔を覗かせたのは、寝ぼけ眼の男子だった。


漆黒の髪と、それによって映えている赤い目。


誰が見ても「美形だ」と判断する整った顔。


出された声は、低かった。


「客は帰った?」