このマーケットのメインとして取り上げられていたのはグリューワインと呼ばれるホットワイン。

通り過ぎる何人かが手には今回のクリスマスマーケットのイベントロゴが入ったマグカップを手にしている。

口にしている反応を見る限りどうやら好評のようだ。

2年前に加奈が言っていたワインはこれだった。

飲んでみたいけど残念ながら余裕がない。

酒に弱い訳じゃないが、お酒の力を借りるなんてことはしたくないのだ。

店頭に飾られている見たこともないお菓子はきっと本場のものなのだろう。

やり過ぎだろうと思うようなお菓子もいくつかあった。

大きな家の形をしたクッキーにアイシングやチョコレートでギラギラにデコレートされている。

遠目で見ても大きい、きっと両掌くらいの大きさじゃないかと篤希は自分の両手を開いて思わず見比べた。

それを手にした女の子が大事そうに抱えていたが、明らかに食べきれる大きさではない。

苦笑いする父親の気持ちの方がよく分かった。

人混みの中は暖かい。

吐く息の白さは変わらないがなんとなく寒さが和らいでいるような気がして楽しくなった。