篤希の操作によって次々と変わっていく静止画に感嘆のため息が漏れる。

「やっぱり篤希の写真は凄い。見る人を惹き付けるよ。」

そう笑う加奈に篤希は照れて何も言えなくなってしまった。

指の操作だけが平然と進んでいく。

彼女は見るたびに感想を呟いているが篤希は反応出来ずにいた。

よくよく考えるとこの距離は近いのではないかと緊張してしまったのだ。

「ね、中を見に行ってきてもいい?」

中の造りもおもしろいらしいと加奈は目をキラキラさせながら話した。

どうやら彼女のメインは中の方にあるようだ。

「僕も行くよ。」

「じゃ、行こっか。」

先を歩いていく加奈の後ろでもう1枚とカメラを構える。

シャッターをきったあと、まだファインダーを覗く篤希は息を飲んだ。

風になびく髪をおさえる仕草、加奈の何気ない横顔が篤希の目に焼き付く。

トクン、と、心臓が鳴る音と共に無意識の内にシャッターをきっていた。

「あ…。」

篤希は驚いて小さく声をもらした。