駆け寄る美和ちゃんを、警察官が手で制した。


「一応、調書を取るので署に来てもらいますけど、まあすぐに帰れますから。後程、○○署の方へ来て下さい」


警察官は半泣きの美和ちゃんを宥めるように言いおくと、貴弥と、おそらく喧嘩の相手と思われる男を連れてパトカーに乗り込んで行った。


バカ貴弥。


大事な妹を泣かせてんじゃないっつの。


「あの、莉生さん。一緒に警察に来て貰ってもいいですか?」
「いいよ。一緒に行こうか」


ひとりで警察に行くのは、さすがに心細いだろうし。


貴弥は嫌がるだろうな…


あぁ。しかめっ面が目に浮かぶようだ。


別れた今、私は部外者だとわかってはいる。


それがわからないほどバカではないつもりだ。


貴弥は他人から干渉されることを嫌う傾向がある。


それらを踏まえたら、私が美和ちゃんと一緒に迎えに行っても、私の存在が無視される可能性のが高いわけで。


多分、またしんどいだけなんだろうなぁ。