俺が睨みつけると、先輩はケラケラと笑った。


「俺が教えたら面白くねぇじゃん。自分で気付け」


……やっぱりこの人は苦手だな。


そう思った時、先輩が、あっ!っと声を上げた。


その目線を追えば、美和がどうにも質の悪そうな男2人に絡まれていた。


「かっわいー!俺らと飲もうよ」
「やっ……」
「うぉっ!手首ほっそー!かっわいー!俺ら優しくするからさぁ?遊ぼうよー?」


ふざけんな。



気付けば、俺はその男の一人を殴っていた。


あの時、莉生を見てからぐねぐねと自分の中にあったもやもやを、いっきに噴出させたような。


俺は美和と先輩の制止の声さえ聞こえず、その2人を殴り続けた。