「そっか…。あのね。私、夏休み前に莉生さんと会ったの」
「は?」
美和の言葉に、俺の裡が波立った。
……なんだよ。
俺が間に居なくても美和と莉生は仲良くしてんだな。
子供染みた感情だ。
俺のそんな気持ちに気付いているのかいないのか。
美和は話を続ける。
「偶然だったんだけどね。莉生さん、男の人と居たの。その…。なんて言えばいいのかわかんないんだけど……」
言い淀む美和。
「莉生が男と居たくらいどうってことないだろ」
莉生にだって色々付き合いはあるだろ。
俺がそう言うと、美和の表情が沈んだ。
「お兄ちゃん。私、ヤだよ?」
沈んだ顔をしたまま、美和が呟く。
「嫌?何が?莉生には莉生の生活があるんだから、俺達が口を挟むことじゃないだろ?」
美和は何が気になっているんだ?
「そういう問題じゃないよ、お兄ちゃん」
沈んだ表情から一転。
美和は何かを決意したような顔で、真っ直ぐに俺を見てきた。


